アワビは大昔から日本人の食卓の系譜に重要な位置を占めてきました。縄文時代には、殻は食器として使われており、また古くからお祝いの食べ物とされており、祝い事の進物には欠かせませんでした。平安初期に記された「延喜式」には、貢ぎ物として各地から都にアワビが届けられた記されています。平将門や織田信長、徳川家康など、邪馬台国の卑弥呼にはじまる天下人の食卓に必ずアワビがのっていたといわれるほど、日本人とアワビは切っても切れないほど強く結びついているのです。



現在、純天然もののアワビはほとんどありません。稚貝を養殖して放流し、解禁日を定めて採取していますが、この採取基準が時代とともに変化しています。江戸や明治のころは10cm以下はとってはいけないとされていました。しかし、現代ではそんなに待ってはいられないと、少々緩くなっています。たとえば岩手県では平均基準は9cm、しかし同県の三陸町吉浜地区では0.25cm厳しくしてアワビを守っています。わずか0.25cmといますが、アワビは5年で12cmにしかならない成長の遅い生物ですので、この差が資源保護に重要な意味をもっているのです。



アワビにはオガイとメガイがあります。これはオガイがオスで、メガイがメスというわけではありません。アワビそのものの種類が違うのです。オガイは色が黒く、身が固い。これをアオ貝といいます。反対にメガイのほうは、殻が赤っぽく、身はやわらかい。これをビワ貝といます。