通称はホッキガイですが、学問上の名称は「うば貝」といいます。シコシコとした歯ごたえがあり、特に薄い紫色の足の部分が美味。グリコーゲンなどのエキス分を多く含み、身、貝柱とも強いうまみを持っています。寿司種やホッキ飯として珍重されており、宮城県でも古くから漁獲量を取り決めるなど資源の有効利用に努めています。また最近では、人工種苗生産された稚貝を漁協に配布し、それを海面で中間育成してから放流する増殖事業に取り組んでおり、特産品として多くの人に食されるようになりました。



殻は殻高7〜8cm、殻長9〜10cm、殻幅4〜5cmと大型で、ハマグリを大きく厚みを持たせたような形をしています。殻表には黄色(老成すると黒)の殻をかぶり成長輪脈があります。色は灰白色をしていますが、加熱するとピンクになります。


外洋性で、鹿島灘以北、北海道周辺、オホーツク海、日本海北部、シベリア沿岸の比較的浅い砂底にすんでいます。成長するのに大変な時間がかかり、殻長が7〜8cmになるのに5〜10年、10cmになるのには20年もかかるといわれます。旬は冬から春で、福島から宮城県南岸、北海道、青森が主産地となりますが、三陸産のものは、味も良く、上物として扱われています。成長するのに時間がかかるため、最近は種苗生産され、放流されるようになりました。


 
刃の鋭くない包丁などで口のところから入れてそぐように貝柱をはずし、身をとり出します。とり出したら、内臓は除き、薄い塩水で砂をよく洗い、(特に口のあたりに多い)黒いワタの部分やもやし状の軟骨を除きます。ひもはぬめりをしごき、むき身は、湯通しをしてから用います。湯通しするか、さっと火であぶると、淡紅色になり、身が引きしまってきます。選び方は、身が大きくて、厚く、よくしまっているものがよいでしょう。
 


福島県浜通り地方のほっきめしが有名。7月末の相馬野馬追の頃にホッキ漁が解禁になると、どの家庭でもつくるほどで、地域の行事や寄り合いには大釜を囲んで食べる大衆食です。また、ホッキガイは天ぷらなどにも使われますが、ホッキミソは普段のおかずとして、特にお年寄りに好まれています。ホッキガイは二枚貝で、貝殻はうにの貝焼きの器にも利用されるほか、小さな棒をくくりつけて食卓のとり分けスプーンにも利用されました。
その他、刺し身、寿司だね、塩焼き、吸い物などに向きます。加工品として水煮缶詰や乾燥品があります。

   ホ ッ キ ガ イ の 雑 学