ホヤはイボイボのある丸い殻で被われ、色や形から「海のパイナップル」と呼ばれています。独特の香気と苦み、甘みがあり、一度食べたら忘れられない珍味で、晩春から初秋、特に初夏が旬で最もおいしくなります。この季節になるとホヤの肉質も厚くなり、においも薄くなりいちばん食べやすいといわれています。ホヤを食べた後、水を飲むとその水が甘くなるというから不思議です。


ホヤは海底の岩礁に着生する原索動物で、古語で寄生することを「ほや」といったことからこの名が付いたといわれています。アカイタボヤ、ボウズホヤなど約300種がありますが、食用にするのは主として真ホヤです。雌雄同体で、大きいもので体長20cmほどになります。色は鮮紅色、独特の香りがあり、カキの約2倍のグリコーゲンなどを含むことから強精保健食ともいわれています。
ホヤは「きゅりとともに肥える」といわれているように、産卵期は1から4月で、旬は初夏になります。日本各地に分布しますが太平洋側は三陸沿岸に、日本海側は男鹿半島以北の寒海に多く生息しています。養殖が三陸海岸から牡鹿半島、松島、仙台湾にかけての沿岸地方で盛んに行われています。


ホヤはスタイルこそ個性的ですが扱い方は簡単です。まず先端にある口(入出水孔)を切り取ってから外皮に切れ目を入れ、中身を出して二つ割り、内臓を取り除いて水洗いすれば準備完了。下処理を済ませた“むきホヤ”なら、さらにお手軽です。なお、持ち味にもなっている特有の磯臭さは、水揚げ後、時間が経過するにつれて弱まり、生臭みが強まります。鮮度のよいうちにむいてしまうほうが良いでしょう。

獲ったばかりのホヤの身をその場で海水で洗って食べるのが最も美味と言われるほど、ホヤは新鮮さが命です。刺身、酢の物、和風サラダや卯の花あえなど、みやぎのホヤならフレッシュな味わいが楽しめます。


海鞘は岩礁などに着生する原索動物の総称。一般には食用にするマボヤを「ホヤ」と呼んでいます。鮮やかな紅色の殻とオレンジの身…ホヤは澄んだ三陸沿岸特産の“海のパイナップル”。古くから強精効果があることから保夜の字が当てられ、酒の肴などに珍重されています。

   ホ ヤ の 雑 学