仙台では小型のものをビンゴ、大型のものをヤタといいます。6月になると金華山から北海道沖にかけて2歳魚が来遊して10月頃までとどまり、急速に成長。これを狙っていっせいに出漁します。寒暖両流が交わる金華山沖が代表的な漁場で、漁獲されたカツオは気仙沼、女川、石巻、塩竈などに水揚げされます。夏北上する「初ガツオ」もさることながら、脂が乗った秋の「もどりガツオ」はまた格別の味。刺身をはじめ、かつお節など利用度は高く、土佐づくり、煮物になるほか、なまり節、缶詰、塩辛などに実に多くの方法で食されています。


体長90cm〜1mで重さは18kgにもなります。体形は高速遊泳を可能にした丸太い紡錘形、さらに水の抵抗を無くすためうろこがほとんどありません。断面は円形です。背面は夏に向かうほど紫色が強くなる暗青紫で生時にはしまが見えます。銀白色の腹に4〜10本の黒色の縦帯が走っています。


全世界の熱帯〜温帯海域に広く分布しています。表層遊泳性で大群をなして回遊しています。産卵場所は主に熱帯で海域で1年中産卵しています。日本のものは南洋から春黒潮に乗って北上し、夏は北海道近くに達します。北進の際には海岸近くを、南下の時には沖合の中層を泳ぎます。1〜2歳の分布範囲が最も広く、金華山から三陸、北海道沖にも主に2歳魚が6月に来て10月まで留まり、カタクチイワシなどを食べて急速に成長します。
伝統的漁法は生きたカタクチイワシをまき餌にした一本釣りですが、近年巻き網による漁獲が圧倒的に多くなっています。
カツオは迅速で力強い泳ぎ方をし、時速45km以上というハイスピードで泳いでおり、並の漁船より速く泳ぐといわれています。その体形や体の両側の発達した筋肉、周囲の水温より3〜10度も高く体温を維持する仕組みなど、遊泳能力をより高めるための「システム」がとても発達しています。



良質のタンパク質やビタミン、ミネラルに富み、動脈硬化を防ぐIPA(イコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン)、タウリンも含まれています。ビタミンDも豊富で、カツオを100グラム食べれば1日の摂取量を満たすほどです。特に血合いの部分にはビタミンA、B1、B2、B12、E、鉄、カルシウムが豊富で、貧血の予防や改善、疲労回復、美肌保持、老化防止、カルシウム不足によるイライラ解消や骨や歯の強化に効果的といわれています。肉類のレバーほど脂肪がないので、肥満が気になる方も安心して食べられます。また、加工品のナマリブシにも生と同様の栄養が、カツオブシにはタンパク質やカルシウム、ビタミンB群が多く含まれています。
 


刺し身、たたき、煮つけ、照り焼き、椀種、そぼろになどに。血合いはつくだ煮にすると美味。あらは塩汁や、しょうがとともに甘辛く煮たりするとよいでしょう。塩辛の“酒盗"はビタミンAをたっぷり含んでいます。ナマリブシは煮物やあえものにぴったりです。
カツオは鮮度の低下が早く、古くなるとヒスチジンによって中毒を起こしやすくなります。毒消しの働きをするしょうがやにんにく、ねぎなどを使うのも手ですが、早めに食べるのが原則。食べ残したときはつく煮などにし、常備菜として保存しとくと良いでしょう。
カツオの身は、空気に触れると変色しやすい特徴をもっています。節取りしたものをすぐ使わない場合は皮をつけたまま、かたくしぼったふきんかラップフィルムに包んで、冷蔵庫に入れておくとよいでしょう。

   カ ツ オ の 雑 学