世界に90種類もあるアワビですが、日本ではエゾアワビ、クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビの4種類を一括してアワビと呼んでいます。宮城の海でとれるのは、最も美味といわれる「エゾアワビ」。宮城県内では七ヶ浜以北の岩礁でとれます。日本にいるアワビの中でも味は最高とされており、上品な磯の香りと、やわらかな歯ごたえはまさに三陸の海を代表する味です。刺し身、蒸しもの、焼きものにして食します。また、肝は「としろ」と呼ばれ塩辛、酢のものなどにして通の味として珍重されています。アワビは高価なだけに密漁が悩みのタネとか。


エゾアワビの殻は長卵形の皿形で、丸みを帯びた耳型をしています。殻は薄く、凹凸が激しく、殻は赤褐色や暗緑色のものが多く、表面は1列に、呼水孔と呼ばれる穴が4〜5個並んでいます。アワビの部位は主に大きく4つに分けられ、俗に、貝殻に密着している殻軸筋(身)を「ほし」、足の周りのざらざらしたところを「みみ」、外套膜を「ひも」、内臓を「わた」と呼んでいます。
アワビはミミガイに科に属する巻き貝の仲間ですが、ほとんど巻いた部分が無いのが特徴です。もちろん二枚貝ではないため殻は片側だけ。そんなことから「片思い」のたとえに利用されているのです。


 
潮間帯から水深50mほどの潮の流れのある水の澄んだ岩場にすんでいます。エゾアワビの場合、寒冷地産の産卵期は8月下旬から10月下旬ぐらいで、水温が20度前後になる時期に行われます。育った成貝は、寒冷地産といえども水温が7度以下になるとエサを摂る動きが鈍くなり、15度〜20度になると盛んになります。エサはワカメ、アラメ、カジメなどの褐藻類が主でもっぱら夜間に食べているとのこと。もっとも食欲の旺盛な2月〜7月頃に肥満度は高く、産卵期を過ぎた9月〜10月頃はもっとも痩せています。成長は遅く、食用になるまでは4〜5年かかるといわれていますが、若いエゾアワビを温暖な海域に移植をすると1年で約2倍の大きさになるとのこと。空気中における活力はかなり強く、10度位に保てばゆうに3昼夜は生存するため生鮮輸送にも便利な貝です。


アワビは塩少々つけたたわしで、砂やぬめりをこすってよく水洗いします。おろし金の柄などを殻と身の間にさし込んで身をはがします。かたい柱の周りのひらひらと肝を切り取り、口の部分はV字形に切り除きます。
生食する場合は必ず生きたものを使うこと。生で食べる場合は、あら塩を当て、たわしでこすること。身がしまって、歯ごたえがよくなります。




 

旬はエゾアワビは陽春から盛夏で、他種は秋から冬。特に日本料理では、アワビは夏の味覚として珍重されています。味は巻き貝の中で最も美味であり、歯ごたえと濃厚なコクのあるうまみをもっています。身がしまっており食感がよいのが特徴。
料理法としては、水貝、酒蒸し、貝焼きの他、ステーキ、コキール、マリネなど現在では和食、洋食と幅広く利用されます。中国では昔から不老長寿の食べ物とされており、秦の始皇帝は少年少女50人を日本に派遣してアワビを持ち帰らせたといわれています。

   ア ワ ビ の 雑 学