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  朝の食卓にひと味そえるノリは、江戸時代中頃に東京・品川付近で養殖が始まったと推定される「伝統食品」です。宮城県ではやはり江戸時代に気仙沼湾で養殖が始められたといわれています。その後、県中部や南部にも広がり、昭和30年頃からは人口採苗と養殖技術の進歩で外洋でもノリ養殖が行われるようになり、生産量が飛躍的に増えています。現在は加工工程がほとんど機械化されて均質な味の良い乾燥ノリが生産され、宮城県内では毎年シーズンになると全国に先がけて正真正銘の“初海苔"を生産しています。見た目は頼りなさそうですが、意外にも良質のたんぱく質などを多く含む栄養豊かな食品です。
採取したノリは、抄いて干しノリとして利用されますが、さらに加工して焼きノリ・味付けノリにも加工されます。また、上質のノリ佃煮とされています。


通常、アサクサノリを含む紅藻類ウシケノリ科アマノリ属の藻類をノリと呼んでいることが多いようですが、本来は水中に生えるコケ状または小型のやわらかい葉状をした藻の総称です。また、一般的にはアマノリがアサクサノリと考えられていますが、アマノリ属は日本近海に20種以上も知られており、アサクサノリはその中の一つで、栽培種の代表種です。
当初、栽培種はアサクサノリだけでしたが、養殖技術の進歩により、スサビノリ、プップルイノリ、オオバアサクサノリなどが養殖の対象となっており、これらの海藻を抄いて干した製品は「浅草ノリ」また「甘ノリ」とも呼ばれています。アマノリ属は海藻の中でもとくに味がよいので、甘ノリと呼ばれ、生のノリが紅紫色であるところから、古くは「葉紫」と書き、アマノリまたはムラサキノリとも呼んだとのことです。
ノリの養殖は、現在は化学繊維の網を使っており、9月から10月にかけてヒビにノリの胞子がつき、発芽して、葉状体に成長して、12月はじめころから採集できるようになります。これを「秋芽」と称し、新ノリの原料になります。さらに「冬至芽」「寒芽」と3月ごろまで採取しますが、春になって出る芽は「馬鹿芽」「赤芽」といって、これは香りも落ちています。


 
ノンカロリーで食物繊維、各種ミネラルが豊富なのはほかの海藻類と同じですが、海藻類の中ではもっともたんぱく質が多く、100グラム中の含有量は大豆以上で、質も大豆より優れています。1回の使用量が少ないため、なかなかたんぱく質源とまではいきませんが、必須アミノ酸などを補う意味では重要で、毎日少しずつでも食べたいものです。また、ビタミンA、B群、Cもたくさん含んでいます。
また、ノリは香りがよいので、食欲増進にもつながり、コンブと同様に体のむくみなどをとる働きがあるといわれています。効果として、肥満防止、新陳代謝の促進、老化防止、美肌保持、便秘予防、高血圧予防、動脈硬化予防、疲労回復などがあげられています。

ノリのビタミン含有量
食品名/
ビタミンの種類
A効力(IU) B1
(チアミン・
mg%)
B2
(リボフレビン
・mg%)
C
(アスコルビン酸
・mg%)
ノリ 14,000 1.15 3.40 100
ウナギ 4,700 0.75 0.45 1
ほうれん草 1,700 0.13 0.23 65
バター 1,900 0.01 0.03 0
タマゴ(全卵) 640 0.08 35 100
牛乳(生) 120 0.04 0.15 2
イワシ(生) 60 0.03 0.36 1
みかん(生) 65 0.10 0.04 35
ブタ肉(普通) 30 0.71 0.19 1
お米(精白米) 0 0.03 0.01 0
(「四訂・日本食品標準成分表」より)



 
干しノリは、そのままあたたかいご飯にのせて食べるほか、おにぎりや巻きずしなどにもぴったり。だし汁に同割のしょうゆと酒、みりん少々を加えて細くちぎったノリをトロリとするまで煮詰め、自家製のノリのつくだ煮をつくるのもよいでしょう。しけたノリが有効に活用でき、気になる塩分も自由にコントロールすることができます。
ノリのあぶりかたは二枚ずつ中表に合わせ、火をなでるようにして度々返しながら万遍なくあぶると香りが逃げず色よく焼けます。天日乾燥のものでは、ノリの表面を見て、つやのある方が表、簀のあとのある方が表です。しかし機械抄きのばあいは表裏の区別はしにくいようです。

   ノ リ の 雑 学