サメは350種以上おり、日本近海では約80種以上もいます。関東では「サメ」(大きいものをフカ)、関西では「フカ」と呼んでおり、世界中で凶暴な「人食いザメ」と称するのは4、5種だけです。宮城県で見られる代表的なサメはホシザメ、ドチザメ、ヨシキリザメ、ネズミザメで、中でもヨシキリザメやネズミザメのひれは中国料理の「ふかひれ」となり、気仙沼の特産品として全国的に有名です。


代表的なヨシキリザメは、体は細長く全長6mにも達します。胸びれも長く、第1背びれが胸びれより背びれに近いことが特徴。背面が青く、腹面は白い。また、鼻先が長くて大きい目をしています。
ネズミザメは体は太短く、紡錘形ですが、尾柄は細く縦扁し、その両側に発達した隆起線があり、高速遊泳に適した体形をしています。体長は3mにもなり、体色は背側が青灰色で、腹側は白色ですが暗色班が散在します。


ヨシキリザメは、東北以南、主に熱帯から亜熱帯にすむサメで、宮城県では定置網や突きん棒で捕獲されます。特に金華山周辺の定置網にかかります。性質はどう猛で人を襲うことがあります。クジラの周りに群れる習性があり、弱ったクジラに集団で襲いかかることがあります。胎生で、サメの仲間では多産で一度に60尾を超すこともあります。
また、ネズミザメは、外洋性で表層近くを回遊し、2〜3月に東北地方の沖合で4〜5尾の幼魚を産みます。北日本から太平洋北部、ベーリング海に分布します。
サメは一般的には海中を泳ぎながら海水を口に流しこんで呼吸をしているため、泳ぎを停止すると死んでしまい、飼育を困難にしています。しかし、ドチザメは自発呼吸ができるうえ大人しいため、とても飼育しやすいサメとして知られています。



食用になるサメは数十種といわれ、日本では主にアブラザメ、青ザメ、ホシザメ、ネズミザメ、ヨシキリザメなどが食用になります。塩漬け、日干し、焼物、調味漬け、ひき肉などにして食べたり、すりつぶしてフィッシュミールに加工したりフカヒレスープなどの珍味にもなります。特にアジアや南洋諸島の国ではサメ肉は日常の食料で、日本でも食しますが、死後、筋肉中の尿素が分解し、アンモニア臭が出るため、多くはかまぼこ、ちくわ、さつま揚げなど練り製品として利用されています。サメ類の中でも味がいいのがネズミザメ。別名サーモンシャークと呼ばれ肉は刺し身やステーキとして食されています。
サメの肝油は1940年代にはビタミンAの補給源としてタラ肝油に代わって重要な栄養源でしたが、50年代になると廉価な合成ビタミンが出現し、サメ肝油もすたれてしまいました。しかし、現在サメの体の一部や抽出液を使って様々な医学的研究プロジェクトが実施されつつあります。例えば、サメの軟骨はがん患者に希望を与えるなる可能性があります。また、サメ軟骨からとれるコンドロイチンという物質で火傷の患者の人工皮膚をつくるテストが行われていますし、サメの角膜は人間の角膜の代用として使われています。
人間にとって怖いサメも一方では人間の命を救う資源として役立っているのです。

   サ メ 類 の 雑 学