江戸時代の初ガツオはとても高かった、といわれています。1812年の「壬申掌記」によると、この年、魚河岸に入った初荷17本のうち、将軍家御買上げが8本、残り9本が魚屋や料亭に卸されたが、売り値がいずれも2両1分とありますから、相当の高さです。
ものの本には「一国一城の主が武士の魂である刀を包丁に持ち変えても食べたかった」という話が紹介されています。
こんなに高い初ガツオも江戸時代以前には下魚として扱われ、武士階級は食べなかったとのこと。また、各地の貝塚からカツオの骨が見つかっているところから、石器時代から日本人が食料としてきた魚でもあったようです。



カツオに限らず、魚の肉には血合いというところがあります。どうも血合いは苦手、という人も多いようですが、カツオの場合はここが栄養満点。カツオの血合いにはビタミンB2やビタミンB12がほかの魚の数倍も含まれているのです。カツオに限っては血合いはぜひ食べたいところです。



カツオの鮮度を確かめたいときは、魚の背の尾に近いところをさわってみるといい。ここがザラザラとしているものは新鮮。腹の部分をさわって弾力のあるものも、生きがいい。
おろしてあるカツオを買うときは、できるだけ身の赤いものを選ぶ。鮮紅色のカツオはもちがいいばかりか、味に独特の甘みがあるとか。白っぽいものは苦みがあるためさけたほうが良さそうです。



カツオ料理といえば「かつおのたたき」。これはカツオには独特のなまぐさみがあるため、肉の柔らかさをそのままにしながら、このなまぐさみを消す方法がないかと考えた結果。火を表面であぶってみたら、すべて解決。さらにカツオのうまみをいちだんと引き出すすぐれた料理として全国に広まったといわれます。